#1 岩出山にいい風を吹かせたい/渋谷大輔さん・ひでみさん

#Uターン #Iターン #一級建築士 #デザイナー #子育て

大輔さんとひでみさんは、2019年2月に大輔さんの実家がある大崎市岩出山へ移住しました。
岩出山は、かつて伊達政宗公が青年期に居城としていた土地。
現代の今も城下町の風情ある雰囲気が残ります。


大輔さんと広島県出身のひでみさんは、学生時代に千葉県で出会いました。
その後、鎌倉市で一級建築士事務所「スタジオシンクロール」を立ち上げ、8年間充実した生活を送っていました。


鎌倉で仕事も子育ても充実した暮らしを送っていたものの、旅行や仕事を兼ねて訪れた地方の暮らしに感化され、移住先を検討するようになったそうです。

最終的に大輔さんの地元に戻り、現在念願の我が家を岩出山に新築中のお2人。
移住を考えたきっかけや、岩出山での暮らしについてお聞きしました。

現在建築中の家の模型を見せていただきました。

“満たされすぎていた”鎌倉での生活

鎌倉ではとても充実した生活を送っていましたが、自分たちの中で何か満たされすぎている感覚がありました。
もっと地方でできることがあるんじゃないかと思ったんです。

鎌倉にいる頃、年に数回帰省していましたが、だんだん地元が寂れていく様子を目の当たりにしていました。
それで、自分たちにできることはないかと考えていたんです。

長期の休みには、旅行を兼ねて全国の様々なまちを車で回っていました。
四国の方もいいかなぁと思ったこともありましたが、
何をするにしても自分の地元が一番リスクが少ないと思い、最後は地元に戻ることにしました。

仕事をするうえでの納得感が高まった

都内の設計事務所で商業施設やオフィスビルなどの設計を経験したのち、30歳で独立して一級建築士事務所”スタジオシンクロール”を立ち上げた大輔さん。
地元に戻って仕事をする中で、感じることをお聞きしました。

元々大きな仕事をしていましたが、個と個で仕事をしたいと思って独立しました。
鎌倉にいたころは競合も多く、なりふり構わず仕事をしている部分があったと思います。

地元に戻って感じたのは、その土地その土地のやり方があるなぁということ。
この土地でしかできないことを仕事でもトライしたいと思っています。

“シンクロール”というのは、シンクロ【共鳴】して、ロール【巻き込む】していきたいという思いで付けた名前なので、シンクロした人たちと一緒にものづくりをできたらと思っています。

岩出山に来て早い段階で林業従事者と繋がることができました。
これは、食べ物で例えると生産者と直接話しながら原材料を選べるようなものです。自分で木材を選ぶことができるようになったことで、設計する上で自分たちの納得感が高まることにも繋がりました。

最近、同級生が岩出山にオープンした「ゆむら商店」は、“ごみを極力減らすこと”をコンセプトにした量り売りのお店です。
そのお店の設計施工をさせてもらったのですが、店舗の内装に古民家から取り出した古材や端材を使いました。

内装を手掛けたゆむら商店

木材を直接選ぶとか、業者を通さず古材を仕入れるといった都心部ではなかなか難しかった事がこちらに来てから出来るようになりました。 資源が豊富にあることを実感しています。

最近の岩出山は、面白い香りがしてきている

渋谷ご夫妻の移住と時を同じくして、同級生が戻ってきたり、岩出山でお店を始める知り合いがいらっしゃったそうです。

私たちと同じ40歳くらいの、一番動ける年代層が増えてきている実感はあります。

Uターンを選んだ同級生たちに聞くと、「昔楽しかったから」とみんなから同じ答えが返ってきたことに驚きました。
今からでも楽しいことができるんじゃないかと思って戻ってきているみたいです。

私たちが移住する5年くらい前に「ブルーファーム」さんが岩出山にカフェを開いたり、
地元で人気の「石崎屋」というお菓子屋さんの息子さんも戻ってきました。

また、先に出た「ゆむら商店」のようなお店ができたり、自分たちの街を自分たちで作るんだ、というクリエイティブな話ができる人たちがいることが嬉しかったですね。

外の方からも「なんか岩出山面白そうだね」と言われることがあって、期待は大きいです。

リラックスして自分を出せる

広島県出身のひでみさん。
知り合いのいなかったご主人の地元に移住してまだ3年ですが、地域自治団体から依頼されて岩出山の本を作るなど、既に地域には欠かせない存在になっています。

都心部にいた頃は、入ってくる情報が多すぎて目移りしてしまうことも多かったように思います。

こちらは余分な情報がない分、自分と向き合うことが増えたように思います。
芯がぶれなくなってきたからか、リラックスした自分を出せるようになった気がします。

それで、SNSを通して自分の思いや考えを発信していたら、地域の人の目に留まったみたいで、岩出山の本づくりに携わることになりました。

こちらに来てから、そんな風に自分の会いたい人に会えることが増えました。
そこからお仕事に繋がることも。
自分でも「人と巡り合う才能」があるのかなぁって思います。

2022年3月に完成した地域の本『岩出山いっぽ』

自然が“ガチ”過ぎる(笑)

お子さんと一緒に、都会から田舎へ移住した大輔さんとひでみさん。
子育て環境の違いについてお聞きしました。

「田舎に移住する=自然が豊富」だと思っていましたが、想像していたよりも自然が“ガチ”過ぎると感じました(笑)
アウトドアというか、アドベンチャーみたいな。
もっと子ども連れでも立ち入りやすい里山とか河原があるといいなとは思いました。

もう少し子供が大きくなれば、自然の中でも自由に遊ばせられるかなとは思います。
ただ、こども園や小学校は、敷地が広いので子供たちはのびのびと遊んでいますよ。

(渋谷さん提供)

子供は減っていて近所に同年代の子供がいないので、遊びに行くときには親が送り迎えをする必要があります。
でもその分、地域の人に覚えてもらいやすいので、大人たちが見守ってくれている安心感はありますね。

(渋谷さん提供)

岩出山のいい風土を作りたい

実は現在、岩出山で土地を見つけ、自分たちが設計した家を新築中のお2人。
岩出山での暮らしと、これからの展望について伺いました。

岩出山の人はなんといっても内川の雰囲気が大好き。
歴史があるだけに景観も素晴らしいですが、地元の人にとっては生活の一部になっています。

休日には、内川の側にある有備館の森公園で子供と遊んだりしています。
遊具も新しくなって、友達の子供も遊んでいることも多いので、私たちもいいリフレッシュになりますよ。

(渋谷さん提供)

岩出山の人たちは、若い人も含めて岩出山人という誇りが高いと思います。
それは、伊達政宗公が治めていた土地に住んでいるという自負があるんだろうなと。

昔から岩出山に住んでいる人はいわば土の人。
外から来た私たちは、いってみれば風の人。

土がとてもしっかりしているので、いい風を吹かせられたらとってもいい“風土”ができると思っています。
少しずついい風を吹かせて、いい“風土”を作っていきたいですね。

「地方で自分たちのできることを探したい」

その言葉の通り、移住してまだ3年ほどにも関わらず、空き家活用、地域の本づくりなど岩出山の様々な取り組みに欠かせない存在となっている渋谷ご夫妻。

これからは新居を活用してワークショップなども行っていきたいと、さらなる意欲をのぞかせます。これからの渋谷ご夫妻、そして岩出山がとても楽しみです。

●スタジオシンクロールHP
http://s-syncroll.com/

●渋谷ひでみさんnote(移住のことや家づくりのことなどを発信されています。)
https://note.com/sbyhdm

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